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某黒猫がメインキャラクターの宅急便屋さん(ぜんぜん某じゃない)と、その取引先だろうか。サラリーマン風の男性との会話が聞こえてきた。


た『これからどこかにお出かけですか?』
サ『ちょっと外回りです』
た『へー、よく外を回られるんですか?』
サ『いや、今日はいろいろとあって。何でです?』<普段は内勤なのかな?
た『いいですねー』


ここで一拍子あけて宅急便屋さんが一言。


た『私もいろんなところにいってみたいなーははは』<乾いた笑いにうつろな目


サラリーマン風の男性は、引きつった笑いをするしか出来ませんでしたとさ。


場所はビジネス街。宅急便屋さんは普段この辺の集配を担当しているのだろうが、たしかに毎日あっちこっちはいくものの決められた空間だけしか移動しない、すなわち箱庭の中の住人のような生活だろうから、いろんな場所へ行く人にあこがれたりするのかなあ。


ふとわが身を考えれば、休みの日もいつも決まったような場所にしか買い物に行かず、平日は言わずもがな。自由気ままにいけるところはいろいろあるはずなのに、実際は箱庭に住んでいるのと大差なし。


なんだか井の中の蛙と言う言葉が頭をよぎった、ある昼下がりの街角でした。