フェイント
大都会東京。
ここを生き抜くには戦場のような心構えが必要だ。
一つ、他人を見たら敵と思え。
一つ、殺(や)られる前に殺(や)れ!
そんな戦場で今日も一人雑踏を足早に通り過ぎようとする俺の前に一人の敵が立ちふさがる。
買い物袋を両手にぶら下げたいかにも下町おかん風のおばちゃん。
わき目もふらずに突き進む俺に、同じようにわき目もふらずまっすぐ向かってくる。
道幅はそれほど広くはないが、人二人がすれ違えないこともない広さ。
しかし、おばちゃん道の真ん中を突き進んできやがるぜ。
ふ、面白い。俺に挑戦する気だな。
俺は右にフェイントをかけつつ左に通り過ぎようとした。目にも留まらぬフェイントテクニックにおばちゃんは翻弄され俺様は平然と脇を通り抜け・・・られたはずなのに、おばちゃんはフェイントをかいくぐり再び俺の正面に立ちやがった!
ふ、そんなことでは俺はやられないぜ。
今度は左にフェイントをかけるふりをしてそのまま通り抜ける高等テクニックを見せ付ける!
おばちゃんはフェイントのふりに引っかかって俺様の通り過ぎるスペースを見事に空け・・・るはずなのになんで俺様の正面に移動してきやがるんだ!!
結局俺とおばちゃんは距離わずか数十センチのところで正対する羽目に。ふ、俺の負けだ。素直に負けを認めた俺はそこに立ち止まりおばちゃんが通り過ぎるのをじっと見つめるしかなかったぜ。
大都会東京。ここを生き抜くには戦場の心構えが必要だぜ。
なんだかよく訳のわからねえ内容だが、戦場じゃあやむを得ねえぜ!