30年来のストーカー

その女性は何の前触れもなく事務所にやってきた。時間は15時過ぎ。その日は電話も何もなく、とても穏やかな日であった。穏やか過ぎて眠くなっていたところだったけど(笑

さて、来客者。小柄で、上品な感じのする60〜70歳ぐらいの女性。髪は白髪がかなり混じっている、と言うかほとんど白髪になっている。メガネをかけたその女性は、肌が年齢を感じさせないほど若々しく、年頃の頃はさぞやきれいだったろうと思わせる顔立ちをしていた。

仮に遠藤さんと呼ぼう。遠藤さん(仮名)は悩み事があって相談しにきたという。

何でも遠藤さん(仮名)は、もう30年も同じ人間に付きまとわれているんだそうだ。

遠藤さん(仮名)は、若い頃あるデパートで働いていたそうだ。今のお姿を見ても、若い頃はさぞや美しかったのだろうと思わせるほど整った顔立ちなおのだから、やはりその頃はかなり男性の注目を集めただろう。

で、あるときある男性が遠藤さん(仮名)に一目惚れしたらしい。

らしい、とは、その男性は遠藤さん(仮名)に声をかけたりとかプレゼントを渡したりとか直接的な行動をとらなかったそうだ。ただ、いつもその男性らしい影を感じるようになったそうだ。

で、それから30年。詳しいことは聞かなかったが、いまだ独身の遠藤さん(仮名)はそれ以来いつもその男性の影に付きまとわれているそうだ。

誰なのかはわからないが、お金を持っている人らしく、人を使って遠藤さん(仮名)の家に忍び込ませたり付きまとわせたりしているそうだ。

忍び込む、ということは何かを盗んだり嫌がらせをしたりしているんですか?と聞くと、特に何を盗むでもなく嫌がらせをするでもない、ただ、家に帰ってくるとカギをかけてあったはずの玄関が開いていたり、朝家を出るときと帰ってきたときとでは小物類の位置が違ったり、誰かが侵入したような後がある、とのことだ。

・・・ここまで聞いて小生はわかった。

遠藤さん(仮名)に小生はアドバイスをする。家に誰もいないときに誰かが侵入したかどうかを確かめる方法はホームセキュリティ等特に防犯カメラを導入することではっきりするのでそれをお勧めし、誰かが付きまとっているようだ、と言うのは前にも紹介したピンホールレンズを使ったビデオカメラでの撮影をすれば証拠が取れる。