30年来のストーカー2

証拠が取れれば警察に相談しやすいし、事件として取り扱ってくれる。そう話して遠藤さん(仮名)を帰らせたのだが、おそらくカメラを設置しようとビデオを持ち歩こうと、納得のいくような映像は撮れないだろう。

そう、遠藤さん(仮名)はいつものように思い込みなのだ。

話を聞く限り、デパート勤めをしていたときに遠藤さん(仮名)に思いを寄せる男性はいたのかもしれない。しかし、その男性が30年もの間人を使って付きまとわせたり何かをさせたりしているという遠藤さん(仮名)の悩みは、思い込みでしかないのだ。

実際に遠藤さん(仮名)の自宅を拝見・調査してみないとはっきりとしたことはいえないのだが、まず間違いないだろう。

30年もの間、何の利益にもならないことをする人間はいないし、自分ひとりで動くわけではなく人を使うとなれば金もかかるし情報が漏れやすくなる。

何より、それをする意味がどこにもないのだ。

思いを寄せた女性の行動すべてを監視していたい、と言う人間がいるのは間違いないが、それはほとんどがその女性を俗っぽい言い方をすればモノにしたいからであり、女性はモノに出来なくても何か身につけているものを欲しがったり、あるいは自己の存在を気付かれたかったり、とにかく何かしらの見返り(その表現があっているかどうか)が欲しいわけだ。

いままで紹介したケースもそうだが、多くの相談はみなそこがないのだ。自分は被害にあっている、誰だかわからない(もしくは大多数)が、いろいろな嫌がらせを受けている、警察も取り合ってくれない、でも何かあるのは間違いない。そう思っている人のほとんどは、実際にはありえないことを自分の頭の中で創造してしまっているのだ。

もちろん本当に被害にあっている人がいるのも間違いはない。しかし、それはそう思っている人の中のごくわずかでしかない。いろいろな相談を受けるが、実際に被害にあっている、と言う人はほとんどいないのだ。

まあもっとも被害にあっている人は小生のところに来ないでダイレクトに警察に行く場合がほとんどだけどね。