天井から聞こえる音2

盗聴、というのは簡単に言えば小型マイクを仕掛け、マイクで拾った音を離れた場所で聞くことだ。普通はそこの住人の会話などを盗聴する為に仕掛けるわけだから、大きな物音がしたりするのは非常に困るわけだ。

つまり、大きな音と盗聴というのは相反するものなのだ。

その辺を母親に説明し、大きな音を出すもの(これもおそらく・・・)と盗聴というのは同時にはありえないことを納得してもらう。

さて、次の問題は大きな音だ。これについてはちょっと思い当たる節がなく、母親や娘さんにいろいろ聞いてみることにした。すると・・・。

小「音はいつも同じところから出るんですか」

母「そうです。大体決まった場所です」

小「そこは何かあるんでしょうか」

母「あんまり音がすごいので管理会社とかに聞いてみたんですけど、どうも換気用のダクトかなにかがあるそうです」

換気用のダクト。それだ。原因はそこだ。
おそらく、そこの部屋専用のものではなく、それぞれのフロアごとにつながっているような構造なのだろう。そのため、いろいろなところで発生する音が共鳴したり反射したりしてちょうどその部屋の上の部分で大きな音を出すのだろう。

はっきり言えば構造上の欠陥も考えられる。住み始めた頃は音がせず、数年前から音が出始めた、というのも何か構造に問題があるのだろう。

それを母親に伝え、盗聴は気にする必要がないが、どうしても心配ならきちんと調べたほうがいい、音についてはマンションの欠陥も考えられるので一度管理会社や欠陥住宅の相談を受けているようなところに持ちかけたほうがいいといって話を終える。

音が出る、という相談はいずれここでも取り上げるが多くはノイローゼ気味(音の種類にもよるが)のケース。今回は住居側に問題がある(と思われる)めずらしい事例だった。ただ、これに盗聴されているかもしれないという相談がからむとは思わなかったが。まあ、盗聴の可能性というのは誰にでもあるのだが、少なくとも大きな物音と盗聴は同時に行われる可能性は低いことは間違いない。

ところでなぜ小生はこのような相談を受けるのか。それについてはまた後ほど。

次回は「30年来のストーカー」について。