敷地内に仕掛けられた見えないスピーカー1

ある一本の電話からその物語は始まった。相談者は50才台の女性で鈴木さん(仮名)と呼ぶ事にしよう。それほど大きくない家だが現在一人暮らしをしているとの事。一人暮らしの理由については聞かなかった。

さて、鈴木さん(仮名)は電話でこう相談してきた。地域の人だけでなく、警察や消防などもぐるになって嫌がらせをしてくる、と。穏やかではない相談だ。その経緯を尋ねてみる。

小生以下“小”「どんな嫌がらせを受けているんですか。」

鈴木さん(仮名)以下“鈴”「昼といわず夜といわず家の周りで色んな音を出して私を眠らせないようにするんです。」

小「例えばどんな音ですか。」

鈴「カエルの鳴き声です。」

相談を受けたのは5月。カエルの鳴き声がしても不思議ではない時期だ。そこで小生は鈴木さん(仮名)にその事を何気なく伝えてみる。

小「近くに田んぼとかはあるんですか。」

鈴「あります」

小「そうしたら田んぼにいるカエルの鳴き声じゃないんですか?」

鈴「田んぼのカエルの鳴き声とは違います。うちのすぐ近くから聞こえてくるんです。きっと誰かがスピーカーを仕掛けていてそこからカエルの鳴き声を流しているんです。」

小「日中とか庭を探した事はありますか?」

鈴「あります。でもうまく隠されていて見つける事ができないんです。お願いだから調べに来て見つけ出してください。」

ちなみに鈴木さん(仮名)は地方(どことはいえないが関東ではない。海を越えないといけないところ)に住んでいる。来てくれ、といわれてもそうそういけるものではない。

さらに、鈴木さん(仮名)の話を聞いていて気がついたことがある。それは、家の周りで“色々な音”で嫌がらせをしている、といった事だ。カエルの鳴き声だけではないということなのだろうか。そのあたりを聞いてみると・・・。

小「ところでカエルの鳴き声はいつも聞こえるんですか。」

鈴「今はそうですが、季節によって変わるんです。」

小「例えば?」

鈴「夏になったら蝉の声がうるさいし、秋になれば虫の声。」

・・・。

小「やはりそれらの音は自然の音じゃないんでしょうか。夏は蝉、空は虫が鳴いて当たり前ですよ。」

鈴「そんな事はありません。誰かがやらせているんです。警察に相談しても相手にしてくれないし、周りの人も信じてくれないんですが間違いないんです。」