コット初黒星

WBAウェルター級チャンピオンで、鉄壁ともいえる硬いディフェンスと巧みなコンビネーションパンチを武器に32戦全勝26KOというレコードを誇っていたミゲール・コットがついに敗れた。


相手はこの試合をするためにIBFウェルター級タイトルを返上したアントニオ・マルガリート。しつこい連打と不屈の闘志と驚異的なタフネスを持ち合わせたメキシカンファイターで、先日引退したスピードスターのフロイド・メイウェザーが対戦を避けたといわれる強豪。


この二人の試合は、序盤から激しい打ち合い。毎度おなじみ接近してしつこい連打のマルガリートに対し、いつものように固いガードでしのぎつつ的確にパンチを当てるコットだったが、距離の違いなのかいつもに比べるとややパンチの威力が感じられない。


毎ラウンド激しい打ち合いを繰り広げ観客はインターバルのたびにスタンディングオベーションをする見ごたえのある試合で、内容はといえばポイント的には的確なパンチ数で勝るコット有利。しかしながら、両者のダメージはと見れば、マルガリートよりはコットのほうが上回っているように見えた。


ポイントでは有利に立ちながらダメージが深いコットは、10Rに連打を浴びてぐらつかされ、11Rにはついに力尽きてダウン。立ち上がるもマルガリートの連打になすすべもなく2度目のダウン。で、ここで立ち上がるが完全に力尽きたのか戦意のない表情を見てレフリーが試合をストップ。33戦目にしてついに初黒星を喫した。


この試合、勝敗を分けたのはなんだったのか。小生が見たところ、コットよりもマルガリートの耐久力、いわゆる打たれ強さが勝ったためだろう。


的確なパンチ数では明らかにコットが上回っていた。マルガリートも10Rあたりから明らかに動きが落ちていたが、コットはそれ以上にダメージが深かった。鉄壁のガードながら、強烈なマルガリートのパンチのダメージを殺しきれず、元々打たれ強くないコットが先に力尽きてしまった、といったところだろうか。


予想通りの両者激しい打撃戦を繰り広げたが、まさかコットが力尽きるとは。ダイエット目的で始めたボクシングで、パウンドフォーパウンドの一角に上げられるぐらいの名チャンピオンになるとは誰も予想しなかっただろうコットだが、このコットが敗れるところは想像できなかった。いい試合だったが、ちょっと衝撃的だった。